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感染性胃腸炎について

内科,医療・健康情報2019.11.26

感染性胃腸炎とは

感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌、寄生虫などが胃腸内に感染する病気の総称です。ウイルスが原因のウイルス性胃腸炎と細菌が原因の細菌性腸炎、この2つが感染性胃腸炎の大半を占めています。

一般的に、夏は細菌が繁殖しやすいため細菌性腸炎が多く、冬はウイルス性胃腸炎が流行します。多くは食品や汚染された水などを介して感染しますが、人やペットとの接触で感染することもあります。感染性胃腸炎にかかると、突然の嘔吐、下痢、腹痛や発熱などの症状がおこります。

原因と症状

感染性胃腸炎の主な原因はウイルスと細菌です。
また、主な症状は嘔吐、吐き気、下痢、腹痛、発熱ですが、感染したウイルスや菌によっては血便なども起こることがあります。また、子供や高齢の方は重度の脱水に陥る可能性もありますので、注意が必要です。

ウイルス性胃腸炎

ウイルス性胃腸炎は、「ノロウイルス」「ロタウイルス」などの病原体が原因でおこります。病原体は他にもコロナウイルスやコクサッキーウイルスなど様々な種類がありますが、特に下記3種が多いとされています。

◆ノロウイルス
ノロウイルスは年中発生しますが、特に冬に流行します。ほとんどが経口感染であり、汚染された水や食品の摂取などが原因で感染します。感染すると潜伏期間は数時間~数日(平均1~2日)で、嘔吐・腹痛・下痢・吐き気や軽度の発熱などの症状が十数時間~数日(平均1~2日)程続きます。また、感染しても発症しない場合(不顕性感染)や軽度の風邪のような症状の場合もあります。

◆ロタウイルス
ロタウイルスは感染力が強く、ごくわずかなウイルスが体内に入っただけで感染します。十分な手洗いをしていても手や爪にウイルスが残っており、その手から経口で感染する可能性があります。乳幼児期にほぼ全ての人がロタウイルスに感染しているため、大人になるとほとんど症状がでません。しかし、感染を経験していない乳幼児は激しい症状(嘔吐・腹痛・下痢・発熱)が出ることが多く、脱水症状がひどい場合は点滴や入院が必要になることもあります。また、肝機能障害やけいれん、脳症などの合併症を引き起こす場合もありますので、注意が必要です。

◆アデノウイルス
アデノウイルスは子どもへの感染が多く、夏にプールを介して感染することもあることから「プール熱」や「はやり目」とも呼ばれることがあります。非常に感染力が強く、唾液などの飛沫や便に接触することで感染します。潜伏期間は呼吸器系で2~14日、胆管系で3~10日、眼感染症で7~14日程で、主な症状は発熱やのどの痛み、結膜炎ですが、嘔吐・下痢・腹痛なども症状として現れる場合があります。またアデノウイルスには、50種類以上の型があるため、異なる型に何度も感染する可能性があります。

細菌性腸炎

細菌性腸炎の原因になるのは、「カンピロバクター」「サルモネラ」「病原性大腸菌」などの細菌への感染です。食中毒としておこることが多いため、夏は特に注意が必要です。腹痛や下痢が主な症状で、原因菌によっては嘔吐を伴う場合があります。

診療科・治療

診療科
内科
診療担当表

治療

感染性胃腸炎の治療の基本は、症状を緩和させながら自然回復を待つことです。嘔吐や下痢で脱水症状になれば点滴、発熱や腹痛があれば解熱鎮痛剤で緩和させていきます。また、下痢止めは病原体の排出を阻害することになるので、使用しないことが望ましいです。

抗菌薬はウイルス性胃腸炎に対しては効果はありませんが、細菌性腸炎の場合は使用することがあります。しかし、便から菌を特定している間に症状が軽快し抗菌薬が不要になることもあるので、基本はこまめに経口補水液などでの水分摂取と安静にすることが大切です。

検査について

感染性胃腸炎が疑われる場合、検査は必須ではありません。高齢の方で脱水が疑われる場合などは血液検査などを行うこともあります。しかし、感染の有無を確認する検査は、どの病原体が原因でも基本的には治療方針は変わらないため検査は行わないことが多いです。また検査は医師が診療に必要と認めた場合に行うことができ、病原体の種類や患者さんの年齢によって健康保険が適用されないものもあります。

ウイルス性胃腸炎の場合

ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスの3つは便を少し採取して行う迅速検査(15~20分程)が可能ですが、陰性となっても他のウイルスが原因の場合がありますのでウイルス性胃腸炎ではないとはいえません。また感染していても陽性とならない場合もあります。ノロウイルスは3歳未満65歳以上の方のみ健康保険が適用されます。

細菌性腸炎の場合

細菌性腸炎は、便培養検査が行われます。菌を染色し顕微鏡で観察して診断しますが、菌を培養するため2~3日程時間がかかります。

当院ではノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルスの迅速検査、便培養検査を行っています。食品を取り扱っている方などで検査が必要な場合は、一度医師にご相談ください。医師が必要と認めた場合に行わさせていただきます。

感染の予防

子どもや高齢の方が感染性胃腸炎を発症すると、病原菌によっては重度の脱水や合併症を引き起こし命に係わる可能性もあります。感染を広げないためにも、日頃から感染の予防を心がけましょう。

手洗いと消毒

感染を防ぐためには、手洗いと消毒はとても大切です。
手洗いは、手についた病原体を洗い流してくれます。帰宅時や食事前、トイレの後などこまめに行いましょう。アルコール除菌で手の消毒を行う方もいますが、ノロウイルスなどのウイルスはアルコール耐性がありますので、流水で洗う手洗いを行わなければ万全ではありません。また、感染者がふれた物などは消毒することが望ましいので、塩素系漂白剤を希釈した液体で拭き取りやタオル等の浸け置きを行いましょう。またふきんや調理器具等は、85℃以上の熱湯で1分以上加熱することでも消毒できます。

食品の加熱

原因菌やウイルスは、基本的には加熱処理をすると死滅させることができます。牡蠣などの二枚貝は下水から流れ込んだノロウイルスに汚染されている可能性がありますので、生で食べることは避け、しっかりと中心部まで火を通しましょう。

ワクチン接種

ロタウイルスにはワクチンがあります。しかし自費での任意接種であることと、乳幼児の限られた期間でしか接種ができないため、保護者の方の判断に任せられています。
(※2020年10月より、ロタワクチンが定期接種になり無料で受けられます。同年8月以降に生まれた乳児が対象となります。)

嘔吐物・糞便の処理

嘔吐物や糞便が乾燥すると含まれていたノロウイルスが空気中にただよい、口から感染する可能性もあります。また糞便には大量のウイルスが含まれていますので、処理することで感染しないように気を付けましょう。床等に飛び散った嘔吐物や糞便を処理する際は、使い捨て手袋、マスク、エプロンを装着し、ペーパータオル等で静かに拭き取ります。拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウムや塩素系漂白剤で浸すように拭き取るか、染み込ませた布やタオルで覆い、水拭きします。換気を行いながら、感染物が飛び散らないように注意して処理しましょう。

解説した医師

川端 康一
【内科】

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