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ピロリ菌について

内科,医療・健康情報,消化器内科2019.12.19

ピロリ菌とは

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)とは、人の胃から発見された細菌で、胃がんや胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫などの消化器系の病気を発症させる一因でもあります。

ピロリ菌自体は、酸素や乾燥を苦手としている弱い菌です。しかし、感染して胃の粘膜に侵入すると胃の中でアンモニアを生成し、胃酸を中和することで強酸性下の胃の中に住みつくことができます。

ピロリ菌の感染は、胃酸の分泌がまだ少ない幼少期に起こるとされています。衛生環境があまり整ってなかった時に幼少期を過ごした年代の方達に感染が多く、また、ピロリ菌に感染している親からの食べ物の口移しによっても感染する場合があるとも言われています。

症状

ピロリ菌に感染すると必ず胃がんになるわけではありませんが、感染した人のほとんどは慢性胃炎になります。慢性胃炎になると、胃の粘膜を防御する力が弱くなり、ストレスや塩分の多い食事、発がん物質などの攻撃を受けやすくなりますので、下記症状が出る場合があります。

  • 上腹部の痛み
  • 食欲不振
  • 胃もたれ
  • 胸焼け

また、慢性胃炎がすすむと、胃の粘膜が薄くやせてしまう萎縮性胃炎になります。

                    ピロリ菌感染から萎縮性胃炎発生までの流れ

萎縮性胃炎を放置していると、ピロリ菌による炎症から身を守ろうと胃の粘膜を腸の粘膜に置き換えようとしますが、この過程がうまくいかず組織の一部に変異が起こると胃がんのもとになるといわれています。

慢性胃炎や胃がんはピロリ菌の持続感染が原因ですので、早い段階で感染に気付いて除菌をすることが大切です。また、ピロリ菌を除菌すると胃がんの発症を3分の1程度に減少させることが分かっており、若いうちの除菌や慢性胃炎が軽いうちに除菌をすると胃がん予防効果が高くなるといわれています。

ピロリ菌の検査について

ピロリ菌に感染しているかを判別する検査は、”内視鏡を使う検査”と”内視鏡を使わない検査”に分けることができます。

内視鏡を使わない検査

内視鏡を使わない検査は、胃全体を診断することができますし、何より内視鏡をせずに済むというメリットがあります。

尿素呼気試験法

検査用の薬を服用し、一定時間経過後に吐き出された息を調べて診断します。簡単であり、ピロリ菌検査の中でも最も精度の高い検査です。

抗体測定

ピロリ菌に感染すると、抵抗しようとして菌に対しての抗体をつくります。血液中や尿中の抗体の有無を血液検査や尿検査を用いて調べます。

糞便中抗原測定

糞便中のピロリ菌の抗原の有無を調べます。

内視鏡を使う検査

内視鏡を使う検査は、胃の粘膜や胃の組織の一部を採取して診断します。本来ピロリ菌に感染していても、採取した部分にピロリ菌がいないと偽陰性(本来は陽性だが、間違って陰性の診断がされてしまうこと)になる場合もあります。

培養法

採取した胃の粘膜をすりつぶし、ピロリ菌の発育環境下で培養して判定します。

組織鏡検法

採取した胃粘膜組織を染色し、顕微鏡でピロリ菌を探す検査です。

迅速ウレアーゼ試験

ピロリ菌がもっているウレアーゼという酵素の活性を利用して調べます。採取した胃粘膜組織を特殊な反応液につけて、反応液の色の変化でピロリ菌の有無を判定します。

ピロリ菌の除菌について

ピロリ菌の除菌は、胃酸の分泌を抑制する薬と2種類の抗生物質の合計3種類の薬を1週間服用しつづけるだけです(1次除菌)。ただし、1次除菌の成功率は約80%です。服用し終えてから最低4週間経過した後にピロリ菌の有無を必ず検査する必要があります。除菌後の検査は、尿素呼気試験などの簡単な検査で調べることができます。

下痢や腹痛などの副作用で薬を服用できなかったり、薬に耐性をもつピロリ菌がいるなどで除菌に失敗している場合は、抗生物質の種類を変えて再度1週間薬を飲み続けてからピロリ菌の有無を確かめます。(2次除菌)

2次除菌でほとんどの方が除菌に成功しますが、まれに2次除菌にも失敗する方がいます。3次除菌以降は自費診療になりますが、除菌は胃がんの予防になりますので継続して除菌にチャレンジすることも大切です。

ピロリ菌検査型除菌までの流れ

保険適用するためには

ピロリ菌の除菌治療は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気の場合のみ、健康保険の適用が認められていました。しかし、2013年よりピロリ菌による慢性胃炎に対しても薬の有効性が認められたため、今までより多くの方が保険適用で除菌治療をおこなえるようになりました。

ピロリ菌の除菌は、下記条件を満たした場合に保険診療の対象となります。

  • 内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者
  • 胃MALTリンパ腫の患者
  • 免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病の患者
  • 早期胃がんの内視鏡的治療後の患者
  • 内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた患者

赤字の項目が追加されたため、内視鏡検査で胃炎(慢性胃炎や萎縮性胃炎など)の診断がされた方は、他のピロリ菌感染検査(尿素呼気試験や血液検査など)で陽性と診断されると保険適用で検査・除菌を受けることができます。そのため、保険適用には内視鏡検査が必須となります。

診療科

ピロリ菌の検査や除菌は内科(消化器内科)でおこなっています。

また、症状がなくピロリ菌に感染しているかの検査だけを受けたい場合は、保険適用外になります。当院では健康診断や人間ドックにピロリ菌検査をオプションでつけていただくものとなりますので、ご希望の方は健診センターまでお問い合わせください。

診療科
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診療担当表

受診の流れと注意事項

ピロリ菌に関する受診の流れは下記のとおりです。基本的には絶食状態での来院をお願いします。
ご不明な点等がございましたら、内科までお問い合わせ下さい。

ピロリ菌陽性といわれた場合

ABC検診や健康診断の血液検査などでピロリ菌陽性の場合は、胃内視鏡検査が必要です。これは、早期の胃がんや潰瘍などの病気を見逃さないためです。ただし、過去6か月以内に他医療機関であっても内視鏡検査をおこなっており、その際の結果や診断がわかるもの(健康診断の結果など)をお持ちであれば、内視鏡が不要になることもあります。内視鏡検査で胃炎や胃・十二指腸潰瘍の診断があれば、除菌を開始します。

受診に関する注意事項

  • 基本的には胃内視鏡検査が必要になる場合が多いので、絶食状態で平日の午前中に来院してください。
  • 医師が検査結果などを記入する書類がある場合はお持ちください。
  • 健康診断などでのピロリ菌感染診断の検査結果をお持ちください。
  • -胃内視鏡検査を受ける場合の流れ・注意事項-
  • ・ 事前に予約していただく必要はありません。絶食状態であれば、来院日の午前中に検査が実施できます。
  • ・ 胃内視鏡は月~金曜日の午前中(8:30~11:30)のみ実施しています。午後と土曜日は実施しておりません。
  • ・ お越しになる前日の21:00以降の飲食は控えてください。水とお茶のみ検査当日でも飲んでいただいて構いません。牛乳やジュースなど色の濃い飲み物は飲まないでください。
  • ・ 生検検査をした方は、ごく少量の出血を伴う場合があります。当日は飲酒を控え、入浴に関してもシャワー程度にとどめてください。食事は検査2時間後くらいから「おかゆ」など消化のよいものはお召し上がりいただけます。
  • ・ 当日の混雑具合によって待ち時間が発生する場合がありますので、なるべく早めにお越しください。
  • ・ 重症度を考慮して検査を行うため、順番が前後する場合があります。
内視鏡検査で胃炎などの診断があった場合

健康診断や症状があって受診した際に内視鏡をして、胃炎や胃・十二指腸潰瘍の診断がある場合は、ピロリ菌感染検査が望ましいです。当院の場合、主に尿素呼気試験でピロリ菌の感染を調べます。この検査で陽性がでれば、除菌を開始します。

受診に関する注意事項

  • 感染診断のための検査を受ける場合は、絶食状態でお越しください。来院される前日の21:00以降の飲食は控えてください。水のみ飲んでいただいてかまいません。
  • 午後の受診(13:00~16:30)でも検査は可能ですが、絶食状態での来院をお願いしているため午前中の受診をおすすめしております。
  • 尿素呼気試験の場合は呼気が検査材料になりますので、検査30分前から喫煙は控えてください。
  • 薬を服用している方は薬の種類によっては検査結果に影響を及ぼしますので、検査前に治療を受けている主治医にご確認ください。

診療受付時間

  • 午前/8:30〜11:30(診療9:00~12:00)
  • 午後/13:00〜16:30(診療13:30~17:00、土曜は午前のみ)
    > 休診日:土曜日午後、日曜、祝日、年末年始(12/30~1/3)
    時間外の受診について

診療科によって休診の場合があります。事前に診療担当表をご確認ください。
ご予約のお問合せは10:00以降(乳腺外科、婦人科、眼科は月~金曜13:00以降、土曜10:00以降)にお願いいたします。


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