心筋症とは
高血圧によって心筋が通常よりも厚くなり、心臓の機能が低下し、血液循環がスムーズにいかない状態をいいます。病名ではありませんが、心不全につながる恐れもあります。拡張型心筋症、肥大型心筋症などがあります。
検査と診断
心電図によって特徴的な所見がないかを診断したのち、心エコーによって心筋の壁の厚さを測定します。また、これらの心機能評価と合わせて心臓カテーテル検査を行う場合もあります。検査によって心筋症のタイプを分け、それぞれに適した治療を行います。主な心筋症のタイプは次の通りです。
最新鋭の機器を導入
当院では、最新鋭の血管造影システム「Trinias MiX」を導入しています。従来に比べX線照射量を増加せずに画像のノイズを50%低減でき、治療の安全性向上や治療時間短縮による低被ばく化が期待できます。
拡張型心筋症
中年期の男性に見られることが多く、心臓の内腔が拡張して心筋が薄くなり、血液循環がスムーズにいかなくなる病気です。慢性的に進行することが多く、心不全による症状が悪化したり、不整脈で突然死を来すことがあります。
症状
拡張型心筋症の主な症状は心不全による症状が主体で、
- 動悸
- 息切れ
- 倦怠感
- 呼吸困難
- 尿量減少
- 夜間多尿
- むくみによる体重増加
- 顔や手足のむくみ
などです。症状が進行すると夜間に突然息苦しくなったり、安静時にも息苦しさを感じることがあります。不整脈によるめまい、失神を起こすことがあるほか、収縮力が低下した左心室内血栓が作られ、脳梗塞などの塞栓症を認めることもあります。
原因
拡張型心筋症は指定難病のひとつとされており、原因は明らかになっていませんが、
- 遺伝
- ウイルス感染による心筋炎
- 自己免疫疾患(免疫系が自分の体を攻撃してしまう)
が主な原因として考えられています。ウイルス感染による心筋炎の場合、風邪のウイルスが心臓に感染するのですが、風邪が治れば回復するケースが多いとされています。しかし、慢性的に進行した場合拡張性心筋症になることもあり、上記の症状が続く場合は放置せずに受診をすることが大切です。
治療
拡張型心筋症では予後を意識した治療や観察がとても大切になります。
基本的には内科的治療による薬物治療で、症状の改善や不整脈リスクの軽減を目標とした治療を行い、利尿剤、心臓への負担を軽くする血管拡張薬、心筋を保護するアンギオテンシン受容体拮抗薬、不整脈の出現を減らすためβ遮断薬などを使用します。
症状や病態に応じて、ペースメーカを植え込む心臓再同期療法、補助人工心臓植え込みなどによる非薬物治療を行うこともあります。
肥大型心筋症
高血圧や弁膜症などの原因がないにもかかわらず、心筋の厚さが通常の数倍に肥大する病気です。左室の肥大によって心臓の内腔が閉じてしまったり、十分に拡がることが出来なくなる拡張障害を起こします。
症状
肥大型心筋症の主な症状は無症状のことが多く、健康診断での心電図異常等がきっかけで見つかるケースも少なくありません。症状がある場合では、
- 不整脈による動悸
- 息切れ
- 呼吸困難
- 胸痛
- めまい
- 失神
などがみられることがあります。
原因
肥大型心筋症の原因は遺伝性であると言われています。そのため、家族や親戚に心臓病や突然死歴のある方は特に注意が必要です。
治療
肥大型心筋症で最も重要な治療は突然死の予防です。
内科的治療による薬物治療では、過剰となっている心収縮力を低下させるため、β遮断薬などを使用します。不整脈がある場合は抗不整脈薬を用いて治療します。
薬物治療による効果が見られない場合は、ペースメーカ植え込み術やカテーテルによる治療も検討されます。
また、激しい運動も避けなければいけません。
発症リスクが高い方
- 糖尿病・高脂血症・高血圧・高尿酸血症(痛風)の生活習慣病がある方
- コレステロールや脂肪の多い食事を好む方
- 肥満を指摘されたことがある方
- 喫煙の習慣がある方
- ストレスを多く抱えている方
- 運動不足の方
- 冠動脈疾患や心臓発作を起こした家族歴をお持ちの方
日常生活で気をつけること
心筋梗塞の効果的な予防策は生活習慣の改善です。以下の項目を実施することでリスク軽減に役立ちます。
禁酒
症状を悪化させるおそれがあるので飲酒はおすすめできません。
運動制限
激しい運動は栄元しなければいけません。また、過去に失神したことがある方や家族、親戚に心臓病、突然死歴のある方はより注意が必要です。担当医と相談のうえ、どの程度の運動ならしてもよいかを検討していく必要があります。
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