症例一覧
白内障について

白内障とは

白内障とは、眼の水晶体が白く濁る病気です。水晶体はカメラのレンズに例えられることが多いですが、目から入る光を屈折させ、網膜にピントを合わせる働きをしています。水とタンパク質で構成されている水晶体は無色透明ですが、タンパク質が何らかの原因で異常変質すると白く濁ってしまいます。そうすることで、眼に入る光が減少・拡散し、ぼやけて見えるなどの視覚異常が起こります。

水晶体が濁る主な原因は加齢のため、年齢を重ねるほど発症しやすくなります。早い方だと40代から発症し、80代にもなるとほとんどの方が白内障になります。白内障の国内手術数は年間140万件以上といわれるほど身近な病気ですが、世界ではいまだ失明率の高い危険な病気です。適切な時期に治療できるよう、定期的に検査を受けて早期発見に努めましょう。

症状

現れる症状や程度には個人差がありますが、発症初期は自覚症状がないことがほとんどで、進行すると以下のような症状が現れます。

  • ものがぼやけて見える
  • かすんで見える
  • 視力が低下したように感じる
  • 晴れた日の屋外や車のライトがまぶしく感じる
  • 老眼鏡をかけても細かい文字が見づらい

白内障を発症しやすくなる50歳以上の方は要注意です。上記症状や少しでも違和感を感じるようであれば、老眼や一時的な眼精疲労と決めつけず、なるべく早く検査を受けましょう。

原因

主な原因は加齢によるものです。水晶体のタンパク質の濁りは、さまざまな外的要因による酸化ストレスが原因で起こりますが、加齢もその一つです。他にも、

  • 糖尿病
  • アトピー性皮膚炎
  • 遺伝など先天的要因
  • 外傷
  • 紫外線
  • 放射線
  • ステロイド薬

などが原因として挙げられます。加齢性白内障の多くは進行がゆっくりですが、ステロイド薬や外傷が原因の場合は比較的早い速度で進行し、20代など若い年代の方でも発症する可能性があります。

予防

快適な生活を長く続けていくためには早めの予防に取り組み、少しでも発症・進行を遅らせることが大切です。濁りの原因となる酸化ストレスを減らし、眼の健康を守りましょう。主な予防策は以下の通りです。

紫外線を防ぐ

紫外線は酸化ストレスの要因の1つです。帽子やサングラス、日傘などを使用し、眼に入る紫外線を減らしましょう。曇りの日や冬でも紫外線は地上に届きますので、1年を通して対策を心掛けましょう。

糖尿病の予防・治療

糖尿病による高血糖状態は、水晶体に糖分が蓄積され濁る原因となります。

抗酸化物質が多く含まれる食品を摂取する

水晶体にはビタミンCが豊富に含まれており、酸化を防ぐ働きをしています。酸化を防ぐ抗酸化物質は加齢とともに減少するため、毎日の食事で意識的に摂取していくことが大切です。抗酸化物質のなかでも、ビタミンCは野菜や果物、アントシアニンはブルーベリー、紫いも、赤しそなど紫色の食べ物に多く含まれます。

目への物理的ダメージを避ける

交通事故やスポーツによる外傷、目を強くこする行為は酸化ストレスの要因のひとつです。スポーツをされている方やアトピー性皮膚炎などにより慢性的に眼を強くこすってしまう方は要注意です。

治療

白内障の治療は、点眼薬か手術のどちらかになります。点眼薬は水晶体の濁りをとることができないため、進行を遅らせる目的で使用します。一方、白内障手術は水晶体の濁りをとることができる唯一の治療法です。目のかすれやぼやけて見づらいなど日常生活に影響があり、視力回復が必要な場合は手術を選択します。

白内障手術

当院で行っている超音波水晶体乳化吸引術は、濁っている水晶体を超音波で砕いて取り除き、6ミリ程度の眼内レンズを挿入する手術です。

手術時間は15分程度で、局所麻酔を使用するため痛みはほとんど感じません。また、定期的な声掛けやリラックスできる音楽を流すことで、不安を軽減する雰囲気づくりにも取り組んでいます。

持病のある方で医師が必要と判断した場合は、内科と連携し全身状態の管理を行うため、安心して手術を受けることができます。当院では術後の経過観察や転倒防止のためにも1泊入院をおすすめしています。

眼内レンズ

水晶体は自動的に厚みを調整してピントを合わせていますが、眼内レンズはピントの調整ができません。そのため、どこにピントを合わせた眼内レンズを挿入するか、診察時に患者さまの生活や眼の状態から考え決定します。当院では保険適用の単焦点レンズと多焦点(2焦点)レンズのみを採用しています。

単焦点レンズ多焦点(2焦点)レンズ
見え方
※ピントを近くに合わせた場合

ピント1カ所にピントがきれいに合う遠中または中近のどちらか2カ所にピントが合う
短所・ピントが合わないところは眼鏡が必要・ピントが甘く、眼鏡が必要な場面もある
・暗いところが見にくい

定期的に眼の検査を受けましょう

白内障を放置すると

適切な時期に治療できず白内障を放置し続けていると、視機能低下に伴う認知機能・身体機能の低下やさまざまなリスクが伴います。例えば、激しい痛みや充血を伴う水晶体融解性ぶどう膜炎や失明の危険性がある急性緑内障などの合併症を発症するおそれがあります。また、手術のリスクが高くなったり水晶体の濁りがひどいと、眼の検査が正しく行えず重大な病気を見逃してしまう可能性もあります。

眼の健康を守るために

眼の病気は気付いた頃には進行していることが多く、早期発見が大切です。特に加齢は眼のトラブルの最大要因のため、40歳を超えたら最低でも年に1度は検査を受けるよう心掛けましょう。また、以下の方も目の病気の発症リスクが高いため、未然に防ぐためにも定期的に検査を受けましょう。

  • 糖尿病や高血圧のある方
  • 血縁家族に緑内障の方がいる場合
  • 強度近視の方

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