症例一覧
大腸がんについて

大腸がんとは

大腸に発生するがんのことで、動物性脂肪の摂り過ぎや食物繊維の摂取不足などが影響し、日本人に急速に増えているがんです。
男性では胃がん、前立腺がんに次いで3番目、女性では乳がんに次いで2番目に多いがんです
大腸は小腸から続く約2mの消化管で、結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)、直腸(直腸S状部、上部直腸、下部直腸)に区分されます。
大腸がんの発生は、粘膜に発生した腺腫(ポリープ)という良性の腫瘍の一部ががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。
日本人はS状結腸と直腸にがんができやすいとされていますが、近年では上行結腸がんなどの右側結腸がんも増えてきています。

厚生労働省.がん登録 全国がん登録 罹患数・率 報告 
平成28年報告;2019年

症状

早期段階では自覚症状はほとんどなく、がん検診で見つかることや、人間ドックや他の理由による検査で偶然見つかることもあります。大腸がんが進行すると、

  • 血便
  • 下血
  • 便秘と下痢の繰り返し
  • 便が細い
  • 便が残る感じ
  • おなかが張る
  • 腹痛
  • 貧血
  • 体重減少

などの症状が出ます。症状はがんの大きさや大腸に発生しているがんの位置によって異なります。よく、血便がみられる方で、「きっと痔による出血だろう」と放っておく方がいますが、自身で決めつけるのは大変危険です。血便が続いたり上記の症状に気づいた場合は、躊躇しないで一度大腸検査をしてみるほうが良いでしょう。

原因

一般的には高齢化と食生活の欧米化が大きく関与していると言われています。肉類、卵、乳製品など、脂肪分や動物性たんぱく質の摂取が増える一方、腸内の調子を調える役割を果たす食物繊維などの摂取量が減少していることが影響しています。また、日常的な飲酒や喫煙、肥満も原因とされているので、心当たりのある方は注意が必要です。

大腸がんのステージ分類

がんの進行具合はステージで表されます。ステージから大腸がんが治る可能性や再発する可能性を予測し、治療方針を決定していきます。

治療

がんの病期によって治療法の種類は異なりますが、大腸がんは比較的ゆっくり進行するがんのため、がんの切除が基本となります。早期のがんの場合は内視鏡治療の適応になります。また、転移を伴う場合は手術と抗がん剤の組み合わせによる治療が必要になってきます。

早期がんの内視鏡治療について

小さなポリープに対しては、スネアと呼ばれる金属の輪を病変部に引っ掛け、高周波電流を流して切り取る「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」と呼ばれる方法や、EMRでは切除できない大きな病変に対しては、電気メスで病変を切除する「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」という高度な治療を当院では主に行っています。これまで病変の大きさなどからEMRでは切除できず、外科手術しか方法がなかった患者さまが、ESDによる内視鏡治療によって身体への負担が少ない治療を行えるケースが多くなっています。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の手技

がんリスクの低減

定期的な検診

大腸がんの発生が増加する40歳になったら、年に1回は便潜血検査による健診を受けておくと良いでしょう。

生活習慣の改善

ビタミン、ミネラル、食物繊維、抗酸化物質が含まれる野菜・果物の摂取を心掛けたり、毎日運動をして健康的な体重を維持したり、適度な飲酒、禁煙など生活習慣を見直すことで、大腸がんのリスクを低減させることができます。ただし、生活習慣を改めてすぐに腸内環境が変化するわけではないので、長期にわたってできることから改善していくといった心がけが大切です。

関連ページ