オルソケラトロジーとは
オルソケラトロジーとは、手術をせずに近視・近視性乱視を矯正する治療法です。
具体的には、専用のコンタクトレンズを就寝時に装用することで寝ている間に視力が矯正され、翌日の日中は裸眼で過ごすことができるという治療法で、裸眼でスポーツを楽しむことができるなどのメリットがあります。
また、装用を中止すると数日~数週間程度で元の状態に戻るため、もし治療が合わないと感じた場合は別の治療に切り替えることもできます。
最近ではオルソケラトロジーの「近視抑制効果」も注目され、近視が増えている小児への治療としても期待されています。
オルソケラトロジーは角膜の形状を変えることから治療の一環となり自由診療扱いとなります。
他の矯正方法との比較
視力を矯正する治療法はいくつかありますが、それぞれのメリットとデメリットには以下のようなものがあります。
それぞれのメリット(一例)
矯正方法 | メリット |
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オルソケラトロジー | ・日中は裸眼で過ごすことができる ・衝撃や水などを気にしなくていい(スポーツに適している。) ・手術の必要がなく、睡眠中に視力を矯正できる ・装用中止すれば数日~数週間程度で元の角膜形状に戻るため、その後別の治療に切り替えることもできる ・近視抑制効果があると言われている |
眼鏡 | ・手入れが簡単 ・装用時間に制限がない ・感染症や角膜が傷つくリスクが低い ・かけ外しが簡単 |
コンタクトレンズ | ・強度の近視・乱視・遠視でも矯正できる ・外見を変えることなく装用できる ・視野が広い ・強い度数のレンズを使用しても歪みが少ない |
レーシック | ・即効性が期待できる ・常に裸眼で生活できる ・ケア用品の購入などのコストがかからない |
それぞれのデメリット(一例)
矯正方法 | デメリット |
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オルソケラトロジー | ・コンタクトレンズと同様でケアに手間がかかる ・就寝時に継続してレンズを装用する必要がある ・強度近視や乱視・遠視の矯正はできない ・強度のドライアイ、アレルギーなど、眼の状態によっては治療できない場合がある |
眼鏡 | ・激しいスポーツには不向き ・レンズが曇ることがある ・見える視野が狭くなることがある ・左右の度数差が大きいと不向き |
コンタクトレンズ | ・装用時に異物感や乾燥感に悩まされることがある ・ケアに手間がかかる ・コンタクトをしたままでは使用できない目薬がある ・眼鏡と比べて手軽につけ外しができない ・ゴーグル無しで水泳ができない |
レーシック | ・一度手術すると角膜の形状を元に戻すことができない ・角膜が変形する ・ドライアイになる可能性がある ・正確な眼圧測定ができなくなる |
オルソケラトロジーの仕組み
オルソケラトロジー治療は、夜寝ている間に専用のハードコンタクトレンズ(オルソケラトロジーレンズ)を装用して角膜の形状を平らに矯正し、光の屈折率を変化させることで視力を矯正します。レンズの内側には複数の特殊カーブがあり、それによって角膜の形状をゆっくり矯正していきます。そのため翌朝起きてレンズを外した後も一定時間効果が持続し、日中裸眼で生活できるようになります。
治療の流れ
まずは問診・適性検査によってオルソケラトロジー治療が可能かどうかを判断し、可能な場合は治療のスケジュールを定めていきます。一般的な流れは以下の通りです。
1
問診・適性検査(完全予約制)
視力検査や角膜形状などの検査を行います。検査によってオルソケラトロジー治療が可能と判断された場合は、後日来院いただき装用テストとレンズの処方を行います。
2
装用テスト
適性検査のデータをもとにレンズを1-2時間装用していただき、効果を体験していただきます。
3
治療開始
テストレンズの装用で問題なければ、本レンズの処方をします。
4
定期検査
翌日、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、以降3ヶ月ごとの定期受診が必要です。
費用
オルソケラトロジーの治療は自由診療となります。
費用 | |
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片眼 | 88,000円(税込) |
両眼 | 143,000円(税込) |
- 料金には、当日の検査代金と薬の費用、および定期検査の費用が含まれます。
- 検査のみの場合、検査代金5,550円(税込)が必要です。
- 契約には印鑑が必要です。
よくある質問
どんな人におすすめですか?
水泳をはじめとする水中でのスポーツや、激しく身体を動かすスポーツをされる方に適しています。また、眼鏡やコンタクトレンズを使用することが煩わしく感じ、日中裸眼での生活を望まれる方におすすめです。
治療に向かない人はどんな人ですか?
眼科的疾患や強いアレルギーのある方、強度のドライアイの方などは治療に適応できない場合がありますので、眼の健康状態、近視の度合い、角膜の形状などを検査し、使用の可否を判断します。
年齢制限はありますか?
レンズの管理と取り扱いが可能であれば特に年齢の制限はありません。2017年12月には子どもにも処方できるようになり、幅広い年齢の方が使用しています。また、「オルソケラトロジー」は視力矯正をするだけではなく、学童期の近視進行を抑制する効果も報告されています。
夜寝ている間にトラブルは発生しませんか?
就寝中は角膜にレンズが吸着するため通常は外れませんが、強く目をこすった場合は外れてしまうこともあります。レンズがずれたままになると、翌日の見え方に影響する可能性があります。
毎日装用しなければいけませんか?
毎日装用しなければならない方もいれば、1週間に2~3日の装用だけで良い方もいます。近視の強さや年齢によって、装用の頻度は異なります。治療開始の段階では、基本的に毎日の装用が必要です。
装用を中止するとどうなりますか?
装用を中止すると、1週間ほどでもとの視力の状態に戻ります。角膜は1ヶ月ほどかけて元に戻っていくので、それから他の矯正方法を行います。
レンズの寿命はどのくらいですか?
使い方にもよりますが、一般的なハードレンズと同じように2~3年に1回の交換が必要になります。