関節リウマチとは
関節リウマチとは、間接内に存在する滑膜という組織が異常増殖することで関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されて関節の機能が損なわれ、そのままにしておくと関節が変形してしまう病気です。
女性のほうがかかりやすいとされており、30~50歳代で発症した方が多いというデータが出ています。また、関節リウマチの患者さまは70~100万人といわれています。
腫れや激しい痛みを伴い、関節を動かさなくても痛みが生じるのが、他の関節の病気と異なる点です。手足の関節で起こりやすく、左右の関節で同時に症状が生じやすいことも特徴です。その他にも発熱や疲れやすい、食欲がないなどの全身症状が生じ、関節の炎症が肺や血管など全身に広がることもあります。
関節破壊は、発症後の早期から進行することが明らかになっています。しかし、関節リウマチの治療法は著しく進歩しており、早期に発見をして適切な治療を行えばごく普通の生活を営めるほどになっています。
症状
症状としては、
- 微熱
- 倦怠感
- 食欲低下
- 体重減少
- 朝方に関節周囲がこわばる
- 関節の腫れと痛み
といった症状が続くことがあります。代表的な初期症状は朝方に関節周囲がこわばることで、朝起きて30分以上こわばりが続くといった症状が出ます。
関節痛は良くなったり、悪くなったりを繰り返して慢性の経過を辿りますが、症状が進行することで関節が腫れて激しい痛みを伴い、関節を動かさなくても痛みを生じます。また、手足の関節で起こりやすく、左右の関節で対称に症状が生じやすいことも特徴です。
関節破壊と機能障害の程度
関節破壊の進行の程度は4段階のステージ、関節破壊の進行に伴う日常生活の障害(機能障害の進行度)は4段階のクラスに分類されます。
Steinbrockerの分類基準
stage Ⅰ | X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態 |
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stage Ⅱ | 軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態 |
stage Ⅲ | 関節と関節の隙間がほとんどなく、骨、軟骨に破壊が生じた状態 |
stage Ⅳ | 関節が破壊され、動かなくなってしまっている状態 |
米国リウマチ学会の分類基準
class Ⅰ | 通常の日常生活活動(身の回り、仕事、運動)は完全に可能である。 |
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class Ⅱ | 通常の身の回りと仕事は可能であるが、仕事以外の活動(スポーツなど)には制限がある。 |
class Ⅲ | 通常の身の回りの動作は可能であるが、仕事やそれ以外の活動には制限がある。 |
class Ⅳ | 身の回りの動作を含め、すべての行動に制限がある。 |
原因
膠原病は原因不明の疾患と言われていますが、自分の免疫システムによって自分自身の臓器を攻撃してしまう「自己免疫疾患」であり、遺伝的な要因とウイルス感染、ストレスなどの環境要因が複雑に絡み合って、自己に対する免疫機能が異常となり発症すると考えられています。
診療科
関節リウマチの診療は、内科(水曜9:00~12:00最終受付、予約制)で行います。また、関節リウマチは全身に症状が出る可能性のある病気のため、各診療科と連携しながら治療をしていきます。
関節リウマチの診断には多くの検査が必要で、症状の内容把握には時間が必要です。そのため、関節リウマチの患者さまは可能であれば紹介状の持参をお願いいたします。
治療
関節リウマチの治療は薬物療法が基本であり、その進歩に伴い治療成績も著しく改善されました。同時に、手指や足趾の関節温存する手術方法も行われるようになり、正常に近い機能回復まで近づけられるような期待もできるようになりました。
このように、患者さま一人ひとりの状態に合わせて最適な医療を提供できるよう、他の診療科ともしっかりと連携を図りながら治療を行います。
薬物療法
関節リウマチの治療は主に薬物治療で行います。治療に関してはここ十数年でも大きく進歩してきており、早期に診断ができて治療を開始することができれば、病期の進行を最小限に食い止めることができ、発症前と変わらない生活を送れるようになってきています。
具体的な治療については、抗リウマチ薬とバイオ製剤を適切に使用することによって、関節破壊を防ぐといった目的の治療になります。ただし、抗リウマチ薬は免疫の働きを抑えるため、風邪やインフルエンザなどの感染症、肝障害などの副作用には細心の注意が必要です。関節リウマチの治療中で、体調の異変を感じた場合には相談するようにしてください。
また、一旦破壊され変形してしまった関節を薬では元に戻すことはできません。そのため早く診断をして、関節破壊が進行する前に早期治療を行うことが重要になります。
手術療法
薬物療法は進歩しているものの、患者さまのだれもが寛容に導けているわけではありません。薬物療法を行っても関節炎が残る場合や破壊された関節や骨を再建するためには手術の検討が必要となることがあります。手術には、炎症を抑えるための滑膜切除術や破壊された関節や骨を再建するための関節固定術、人工関節置換術などがあります。
リハビリテーション治療
炎症活動期のリハビリテーションの目的は、疼痛の鎮静と変形の予防を目的です。関節を動かさないままでいると、関節が固まってしまったり筋力・体力低下を招くので、関節を保護しながらリハビリテーションを行います。
また、炎症非活動期においては、関節の動きや筋力を回復させるためのリハビリテーションを行います。
治療中に気をつけること
- 葉酸が多く含まれる食品を避ける(抗リウマチ薬の効果を減弱させる可能性があるため。)
- うがいや手洗いをしっかりと行う
- インフルエンザや肺炎球菌の予防接種をできるだけ受ける(薬の影響で免疫力が抑えられていることから感染症を予防するため。)
- 禁煙(関節リウマチを悪化させる要因となるため。)
- 関節に負担の少ない運動やリハビリテーションを心がける