RSウイルス感染症とは
RSウイルス感染症とは、RSウイルスの感染によって引き起こされる呼吸器感染症です。年齢問わず生涯に何度でも繰り返し感染しますが、2歳ごろまでにほぼ全ての乳幼児がRSウイルスに感染するとされています。通常は一般的な風邪症状(鼻かぜで終わることも多い)で数日のうちに快方に向かいますが、1歳未満、特に6か月未満の乳幼児、肺や心臓に疾患を持つ一部の小児は重症化するリスクも大きいので注意が必要です。
これまでは9月ごろから流行し、春先まで続くとされてきましたが、近年では8月ごろから流行が始まるようになってきており、その年によって流行の時期は異なります。症状が出たときは、早めに受診するようにしましょう。
症状
多くは軽症で済みますが、まれに細気管支炎、肺炎へと進展することがあるので注意が必要です。
軽症の場合
- 発熱(微熱が多い)
- せき
- 鼻水
など一般的な風邪症状です。
重症の場合
せきが悪化し、喘息(ゼーゼー、ヒュウヒュウという呼吸音)や呼吸困難が見られることがあります。また、鼻水が多くなることで中耳炎の合併を合併することもあります。
原因
RSウイルス感染症の原因は、その名の通りRSウイルスが原因です。咳やくしゃみによって発生する飛沫を介した飛沫感染や、ウイルスの付着したおもちゃや食器などに触れたり、なめたりすることで感染する接触感染が主な感染経路です。
治療
潜伏期間中(3〜5日)から発症後2週間ほどでウイルスを排出しますが、1か月程度ウイルスの排出に時間がかかることもあります。通常は数日〜1週間で軽快します。治療については、RSウイルス自体に効果のある抗ウイルス薬は現在のところなく、症状に合わせた対症療法が主な治療となります。去痰薬や解熱剤の服用、必要に応じて鼻汁の吸引をしたり、吸入で呼吸状態を改善させる治療を行います。
予防
手指や飛沫を介して感染するので、手洗い・手指消毒、うがいの徹底が重要です。また、ドアノブやおもちゃなどはこまめに消毒するようにしましょう。成人がRSウイルスに感染した場合、風邪症状が大半のため、RSウイルスの感染に気づかないこともあります。身近に乳幼児がいる場合はできるだけ接触を避けて、重症化しやすい乳幼児への感染を防ぐことを心掛けましょう。