胃がんとは
胃がんは、胃の内側を覆う粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になることから始まります。また、胃がんの10%前後を占める特殊な胃がんとして、主に胃壁の中で広がって粘膜の表⾯にはあまり現れない「スキルス胃がん」があります。
症状
胃がんは進⾏の程度にかかわらず、症状が全くない場合もあります。よく見られる症状としては、
- 疲労
- 食欲の低下
- 胸やけ
- 常に存在する重度の消化不良
- 持続性の吐き気
- 胃痛・胃の不快感
- 持続的な嘔吐
- 吐血・下血(黒い便)
- 意図しない体重減少
などがありますが、これらは胃がん特有の症状ではなく胃炎や胃潰瘍の場合でも起こる場合があります。そのため、市販の胃薬などを飲んで様子を見るよりも、一度受診して検査を受けることが大切です。
原因
胃がんが発生する原因全てが解明されているわけではありませんが、日本人の胃がんの98%はピロリ菌による感染が原因であるとされています。また、胃がんのリスクを高める要因として次のものが挙げられます。
- ピロリ菌による感染
- 塩分の過剰摂取
- 果物や野菜の摂取不足
- 家族に胃がん歴がある
- 喫煙
- 胃ポリープ
予防
胃がんの原因が完全に解明されていないため完全な予防策はありませんが、
- 定期的な運動
- 果物や野菜毎日摂取すること
- 減塩を心がける
- 禁煙
など、まずは日常生活を見直すことで胃がん発生のリスクを低減させることが期待できます。また、近年ピロリ菌の除菌によって胃がんが予防できることも証明されました。胃がんの予防効果は治療を始める年齢に関係し、20歳代に除菌できれば、高い確率で胃がんを予防することができます。高齢者であっても、除菌をすることで胃がんの発生リスクは抑えることができます。
治療
がんの治療内容は、病期(ステージ)によっても異なってきます。内科、外科、放射線科など各分野の専門家が十分に話し合い、効果が期待できるとともに負担の少ない治療方法を検討します。主な治療方法としては、
- 手術療法(外科治療)
- 内視鏡治療
- 化学療法
- 放射線療法
が挙げられます。手術療法が一般的ですが、病変が浅く、リンパ節へ転移する可能性が低い場合は内視鏡治療を行っています。また、手術と組み合わせて行う「補助化学療法」と、手術で切除できないがんに対して行う「緩和的化学療法」があります。放射線療法は、特殊な場合には行われていますが、胃がんに対する治療法としては一般的ではありません。