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泌尿器科:前立腺がん 定位放射線治療(サイバーナイフ)

当院では、グループ病院である富山サイバーナイフセンターと協力して、前立腺がんの定位放射線治療(サイバーナイフ)を積極的に行っています。サイバーナイフの登場で、今までは手術や放射線治療が困難とされてきた体の奥深くにあるがん病巣も治療が可能となりました。

前立腺がんとは

前立腺がんとは、男性の膀胱の下にある前立腺と呼ばれる場所にできるがんのことです。前立腺がんの罹患者数は増加の一途をたどっており、国内の年間罹患者数は今では9万人以上、男性のがん患者数の1位となっています。前立腺がんの生物学的多様性やさまざまな治療方法の開発、また各種治療方法による合併症の出現率の違いなどがあるため、患者さま一人ひとりの希望にあわせた治療が現在行われています。

サイバーナイフについて

サイバーナイフとは、コンピュータで制御されたロボットアーム(腕)に、放射線を照射できる装置を装着した「放射線治療ロボット」です。サイバーナイフが、自動でがんの病巣を正確に狙って放射線を照射するため、脳や頸部の直径数センチ以下の小さな病巣にも非常に精密に放射線照射を行うことができます。また、自動追尾機能も兼ね備えており、その誤差は頭部で1ミリ前後、体幹部で2ミリ前後とされています。

メリットとデメリット

メリット

前立腺癌の生物学的特性により、放射線治療の1回当たりの線量を増やし、その代わりに治療回数を減らすことで治療関連の有害事象を減少させ、治療効果を増強する方向に働くことが分かってきました。

しかし従来の放射線治療装置では、安全性を保ったまま1回あたりの線量を十分に増やすことは困難でした。サイバーナイフは高精度にリスク臓器を回避することができますので安全に一回線量を増やすような治療が可能です。

以上よりサイバーナイフでは従来の放射線治療に比較して少ない治療回数で、同等以上の治療効果が得られると考えられています。従来法(IMRT)では約2か月間治療を要しておりましたがサイバーナイフでは5日間で治療を完遂することができます。2017年より保険適用となっています。

 サイバーナイフ
※富山サイバーナイフセンターの場合
トモセラピー汎用リニアック
照射線量 / 照射回数36.25Gy / 5回60Gy / 20回78Gy / 39回
照射期間約1週間約4週間約8週間
治療時間(照射時間)45分(30分)15分(5分)15分(3分)

トモセラピー、汎用リニアックの照射線量や回数、期間に関しては、医療機関ごとに異なります。上記はあくまでも一例ですのでご注意ください。

デメリット

サイバーナイフ1回あたりに照射される放射線量が大きいため、従来法に比べて一過性の排尿障害が出現しやすいといわれています。しかし、長期的にみた場合、従来法と比べて合併症のリスクは同程度と考えられています。

副作用軽減への取り組み

当院では、前立腺と隣接する直腸への被曝を軽減するために希望される方には、ほぼ全症例にハハイドロゲルスペーサ―(SpaceOAR)を挿入しています。ハイドロゲルスペーサ―を挿入することにより直腸の被ばく線量は1/4に軽減されるとされます。(※詳細は下記リンクを参照ください)

治療の流れ

診察(富山西総合病院または富山サイバーナイフセンター)

罹患されている前立腺がんに対して、サイバーナイフによる治療が適用できるかどうかを確認します。
(※富山サイバーナイフセンターへの直接の受診には、医師からの紹介状が必要となります。)

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サイバーナイフの説明(富山サイバーナイフセンター)

サイバーナイフによる治療の説明や、治療日程の相談を行います。

マーカー留置のための入院(富山西総合病院)

前立腺の位置を正確に同定するために、前立腺内に金でできた小さなマーカーを埋め込みます。当院にて、1泊2日~2泊3日の入院が必要となり、ハイドロゲルスペーサー留置も同時に行っています。

治療プランの作成(富山サイバーナイフセンター)

CT・MRI検査を行い、サイバーナイフに関する詳細な治療プランを立てます。また、治療に必要な固定具も作成します。

治療開始(富山西総合病院⇔富山サイバーナイフセンター)

富山サイバーナイフセンターには入院施設はないため当院に入院し、合併症の有無を確認しながら5日間のサイバーナイフ治療を行います(※外来通院も可)。1回の治療時間は約1時間で、施設間を移動する際は送迎車にてお送りします。

治療費について

前立腺がんに対するサイバーナイフ治療は、健康保険が適用されます。下記料金はあくまでも目安のため、入院中に追加の検査や処置が必要となった場合は、負担額が増える場合があります。

金マーカー留置術

  • 【1割負担の方】約20,000円 + 部屋代
  • 【3割負担の方】約60,000円 + 部屋代

サイバーナイフ治療

入院5日間とその期間に実施するサイバーナイフ治療、及びそれに伴う処置の場合

  • 【1割負担の方】約90,000円 + 部屋代
  • 【3割負担の方】約260,000円 + 部屋代

医療費が高額になると見込まれる場合は、事前に「限度額適用認定証」を用意すると便利です。申請方法などご不明な点がありましたら、地域サポートセンターまでご相談ください。

関連情報

紹介状やCT・MRI・PET等の画像、その他検査データなど治療の経過が分かるものを必ずご用意いただき、電話にて診察の予約をしてください。