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乳がん検診で見つかる石灰化について

乳がん検診で見つかる石灰化について

乳がん検診で見つかる「石灰化」とは、乳房の組織にカルシウムが沈着した状態をさします。
多くは病的な問題がなく、ホルモンの影響など生理的な原因や良性疾患によって、乳房の組織内でカルシウムが沈着したものが、マンモグラフィー検査の際に白い小さな点や線状に画像に現れたり、ポップコーン様の白い大きな塊として見えることがあります。
一方、乳がんが原因で石灰化が生じる場合もあります。悪性の石灰化は、乳管内で発生したがん細胞が壊死し、そこにカルシウムが沈着することで生じます。
石灰化そのものはがんではありませんが、早期乳がんの兆候である場合があり、乳がん検診で早期に発見し、悪性の疑いがあるものは、より詳しい検査で調べる必要があります。

40代以上の女性は2年に1回の受診が推奨されています。また、それよりも若い世代の方も、乳がん検診を受診することは有意義です。

乳がん検診

乳がん検診は、完全予約制です。
富山市の乳がん検診受診券をご利用の場合は、ご予約の際にお手元にご用意ください。(予約枠に限りがあります。)
乳がん手術歴のある方は、ご予約の際にお申し出ください。

検診で要精密検査となったとき

乳がん検診で「要精密検査」となった場合は、速やかに乳腺外科を受診することをおすすめします。
乳腺外科は完全予約制です。電話予約のほか、はじめての受診でもWeb予約が可能です。

「石灰化」をともなう乳房の病気の一例

  • 線維腺腫(乳腺の良性腫瘍では最も多い病気。ポップコーン様の大きな石灰化を伴うことがある)
  • 乳管内乳頭腫(乳管内に良性の腫瘍が発生し石灰化を伴うことがある)
  • 乳腺嚢胞(乳腺内に溜まった体液が嚢胞となり石灰化を引き起こすことがある)
  • 乳腺炎・乳腺膿瘍(乳腺内で炎症が慢性化したり膿が溜まったりすることで石灰化を引き起こすことがある)
  • 乳がん(乳管内で発生したがん細胞が壊死しカルシウムが沈着して石灰化を引き起こすことがある)

石灰化の分類と検査・診断

マンモグラフィ検査で石灰化が見られた場合、存在部位・分布・大きさ・形態から、明らかに良性と判断できるものを除いて、鑑別基準に沿ったカテゴリ分類を行います。明確な基準のもとに、良性の可能性が高いもの、疑わしいもの、悪性の可能性が高いものを判断し、医師が精密検査や治療の必要性を検討します。

良性石灰化

皮膚や血管壁に生じたもののほか、単発で中心が抜けたものや、角がなく形が整った小さな石灰化が均一に広がっているものは、良性と考えられます。これらは追加の検査や治療を行わないことが一般的です。

主な要因

  • 年齢:特に閉経後に多く見られる、加齢に伴う自然な石灰化
  • 炎症や外傷:乳腺炎、乳腺症、外傷や手術後の瘢痕による石灰化
  • 良性疾患:線維腺腫などの良性疾患による石灰化
血管の石灰化
線維腺腫の石灰化
領域性石灰化

疑わしい石灰化

分布が不均衡でやや不規則な形態を示す傾向があります。
悪性の可能性を排除するため、石灰化の形態・分布などのほか、石灰化以外の症状(しこりや皮膚の引き攣れなど)の有無などを確認したうえで、追加の画像検査や生検が推奨されます。

形態

不整形または微細な斑点状の石灰化は、良性・悪性どちらの可能性もあり、追加の画像検査や生検が推奨されます。

分布

石灰化が密集しクラスター状に集まっている場合は、乳管内病変が疑われます。新たに生じたり変化が見られる場合には、より詳細な画像検査や生検が推奨されます。

集簇性石灰化(精密検査の結果「良性」と判断)

悪性石灰化

石灰化の形態や密度・分布が不規則な場合は、悪性の可能性が高く、多くは乳管内病変を伴います。より詳細な画像検査や生検を行い、詳しく調べる必要があります。

形態

形態が不均一で棘のような不規則な凹凸があるものは、乳がんの初期の兆候である場合が多く、悪性の可能性が高いと考えられます。

分布

非常に細かい斑点状の石灰化が密集している場合や、扇状または特定の乳腺管に沿って線上に分布している場合は、乳管内病変や早期乳がんとの関連が疑われます。

乳がん(浸潤がん)に伴う集簇性石灰化
【拡大】形態が不均一な石灰化が扇状に分布

受診の目安

石灰化自体はそのほとんどが大きさ1mm以下であるため、通常はマンモグラフィ検査によって初めて発見されます。
また、過去に乳がん検診で石灰化を指摘されたことがある方は、定期的に乳がん検診を受けることが推奨されます。
石灰化を過度に心配する必要はありませんが、次のような場合は、速やかに乳腺外科を受診することをおすすめします。

  • 乳がん検診で「要精密検査」の結果が出たとき
  • 乳頭からの異常な分泌物があるとき(特に血液のような赤い分泌)

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乳腺外科専門医のもと、専門的な診断・治療による質の高い医療を提供に努めています。また、乳腺以外の原因が考えられる場合、他科とも連携しながら診療いたします。お困りの際は、お気軽にご相談ください。