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循環器内科:心不全治療と心血管カテーテル治療

増え続ける心不全
心臓からのSOSを見逃さないために

急死につながる危険性もある「心不全」。日本の「心不全」の患者数は約100万人といわれており、人口減少にもかかわらず、高齢化によって2030年には130万人にものぼると考えられています。
心不全治療と心血管カテーテル治療について、富山西総合病院の取り組みをご紹介します。

心臓のしくみと豆知識

心臓は体中に血液を送り届けるポンプの役割をしています。健康な心臓は、1分間に60~100回程度の規則的な収縮を繰り返し、1日で10万回も休むことなく動いています。その間に、血液を通して酸素や栄養素を全身に運び、老廃物の回収などさまざまな働きを行っています。

血管の長さの合計は地球2周半

人の体には、地球2周半(10万km程度)もの血管が張り巡らされています。心臓から送り出された血液は、この長い距離をわずか30秒から1分で再び戻ってきます。

1日に体内を流れる血液量

心臓が送り出している血液の量は1日でおよそ約8,000ℓ。2ℓのペットボトル4,000本分の血液が送り出されていることになります。

心不全ってどんな病気?

心不全は病名ではなく、心筋梗塞や高血圧などが原因で、心臓の働きが低下して、右のような症状によって日常生活が障がいされた状態をいいます。全身に十分な血液を送り出せなくなることでさまざまな症状が現れます。原因となる疾患が隠れていないか、はっきりさせることが重要です。気になることがあれば、早めに受診しましょう。

ご用心!心臓の危険サイン

  • 階段を上るのがつらくなってきた。
  • 夜、寝ると咳が出る。
  • 夜、寝苦しくなって目が覚める。
  • 横になると息苦しくて、起きていると少し楽になる。
  • 足や顔のむくみが強くなってきた。

心不全は4つの進行ステージに分けられる

心不全は4つのステージ(A~D)に分類されます。症状が現れるのはステージCからで、それ以前は将来の心不全リスクが高い予備軍といえます。最も大切なことは、“進行させない”ということで、ステージA・Bの段階で予防を始めることで、心不全の発症を抑えられる確率が高まります。

心不全は悪化と回復を繰り返す

はじめのうちは症状がなくても、進行に伴って症状が現れ、身体活動能は低下していきます。悪化して入院をしてもある程度の場合は回復します
が、悪化する前の状態にまで回復することはありません。そのため、早期の段階で生活習慣の改善や持病の治療をすることで、進行を予防することが大切です。

心臓に関係ないと思う症状も心不全の可能性が!?

たくさんある症状のうち、代表的なものをいくつかあげます。「年のせい?」、「運動不足?」と心臓に無関係と思いがちな症状が、実は心不全による場合もあります。

動悸・息切れ

血液の循環が滞り肺に水がたまるため、それを補おうと、脈拍と共に呼吸回数が増え、階段や坂道でも動悸や息切れがすることがあります。

疲労感・脱力感

心臓から十分な血液を送り出せなくなることで、全身のだるさや疲労感といった症状が現れます。

尿量の変化

血液を送り出せないことによる日中の尿量・回数の減少や、体の中で血液が滞ることで夜間の尿量・回数が増加することがあります。

動悸・息切れ

血液の循環が滞り肺に水がたまるため、それを補おうと、脈拍と共に呼吸回数が増え、階段や坂道でも動悸や息切れがすることがあります。

疲労感・脱力感

心臓から十分な血液を送り出せなくなることで、全身のだるさや疲労感といった症状が現れます。

当院における心不全診療と今後の展開

心不全は症状が現れていない段階からも徐々に進行していくため、予備軍だと分かった時点で治療を開始する必要があります。また、心不全のステージや高血圧、腎臓の病気、糖尿病などの基礎疾患、併存症によって治療法が異なることも特徴です。一人ひとりの状態を見極めたうえできめ細やかな診療を行います。

検査から再発・再入院防止のためのリハビリまで

正確な検査・診断

冠動脈の血流などを調べる冠動脈CTや手足から細い管を通して心臓の働き等を調べる心臓カテーテル検査など、状態に応じた検査と正確な診断で、個々に適した治療を行います。

心血管カテーテル治療

心不全の原因は、虚血性心疾患、高血圧症、弁膜症、不整脈など多岐にわたりますが、その中でも虚血性心疾患は一番高い割合で増加傾向にあります。

虚血性心疾患治療の一つにカテーテル治療があります。症状の改善効果や虚血の評価を行い、心機能の改善や予後の改善効果を期待した治療が重要です。また、カテーテル治療に薬物療法をしっかり追加することも重要です。

当院では、しっかりとした検査を行い、治療方針を検討したうえで、効果的なカテーテル治療を実施しています。

心血管カテーテル治療の様子

睡眠呼吸障害の治療

就寝中に何度も呼吸が止まるなどの睡眠呼吸障害は心不全との関係も深く、心不全の重症度によって睡眠呼吸障害のタイプも変わるため、それぞれの特徴を踏まえた治療を行います。

心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションとは、運動によって低下した体力を回復し、社会復帰すると同時に、運動療法や生活・栄養指導などの再発や再入院の防止を目的とした総合的な治療プログラムです。

在宅で心不全悪化を検出・早期介入へ

慢性心不全は、重症化前に変化を見つけることが大切です。自宅で心不全の悪化を検知する機器等はあるものの、価格や使い勝手の面であまり普及していません。現在、当院院長 麻野井医師を中心に、経済的、肉体的負担が少なく在宅患者さまの心不全悪化を早期検出できる遠隔モニタリング指標の研究開発を進めています。将来的には心臓の状態変化を遠隔でモニタリングできる人が増え、心不全悪化で入院が必要となる前に変化を検出し、早期治療に結びつけることが期待されます。

早期発見・早期治療が何より肝心

徐々に進行する心不全では、悪化するまで症状が自覚しにくいため、症状が出て受診したときには、治療が難しくなっているケースも少なくありません。また、治療をしても心臓が完全に元通りにならないので、今から自身の身体と向き合いましょう。日々の注意点としては、減塩、肥満解消、適度な運動、禁煙、節酒、ストレス軽減などです。また、心不全のリスクを抱えている人や初期症状が疑われる人は、早めに受診をして適切な治療を受けることが大切です。