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胸のくぼみ

胸のくぼみについて

胸にくぼみが生じる場合、乳がんや線維腺腫などが考えられます。
乳がんのなかでも特に多くみられる浸潤性乳管がんでは、乳腺の中で硬い腫瘍ができ、がん細胞が乳房の間質や靭帯といった周囲の組織を引き込むことで、皮膚にくぼみ(陥凹や陥没)が生じることがあります。
また、良性腫瘍の一種である線維腺腫では、通常はしこりとして触れるだけですが、病巣が大きくなると変形を引き起こし、乳腺の周囲組織を圧迫することで軽度のくぼみを生じることがあります。
胸のくぼみは、乳がんの兆候であることが多いため、発見した場合は早めに乳腺外科を受診することをおすすめします。

乳腺外科は完全予約制です。電話予約のほか、はじめての方でもWeb予約が可能です。(乳がん手術歴のある方は、お電話にてご予約ください。)

「胸のくぼみ」をともなう乳房の病気の一例

  • 乳がん(浸潤性乳管がん)
  • 乳腺線維腺腫(大きくなると変形を引き起こす)
  • 乳腺嚢胞(陥凹を引き起こすことがある)
  • 乳腺炎・乳腺膿瘍(炎症による瘢痕形成)
  • 乳房手術後の瘢痕(瘢痕拘縮)

検査と診断

視診・触診

医師がくぼみの状態や皮膚の変化を確認し、しこりの有無のほか、乳房やリンパ節の腫れがないか、痛みや異常な分泌物がないかなどを調べます。

画像検査

マンモグラフィ検査(トモシンセシス)

検査機器で乳房を挟んでX線撮影する検査です。40歳以上の乳がん検診で推奨されている検査であり、石灰化や腫瘍の有無を確認します。
3D撮影が可能なトモシンセシスでは、マンモグラフィ画像を厚さ1㎜毎に出力し、多断面の断層画像として細かく表示することができるため、乳腺に隠れて見えにくい微小な石灰化を捉えることができ、病変のより正確な把握や診断を行うことができます。

乳腺超音波(エコー)検査

超音波を用いて乳腺の状態を確認し、しこりの性質を詳しく調べることができます。特に、若年層や乳腺が発達している方(デンス・ブレスト)に適しており、X線撮影と組み合わせることで、隠れた病変を見つけやすくなります。

乳房MRI検査

強い磁力を発生するMRI装置を用いて乳房の病巣を画像化し、診断する検査です。造影剤を用いてより詳細な画像を取得します。マンモグラフィーやエコー検査では判断できない場合や、病変の広がりを診断する場合などに行います。

乳がんの疑いがある場合の検査

細胞・組織検査

細胞診

超音波で病変部を確認しながら細い針を刺して細胞を採取します。採取した細胞を顕微鏡で調べ、がん細胞か否かを診断します。がん細胞の有無に加え、成長スピードや周辺の組織への広がりやすさを示す悪性度を調べることができます。

組織診

病変部分の組織を採取し、乳がんであるかどうかの診断を行うための検査です。細胞診よりも多くの細胞を採取するため、より確実な診断が可能です。がんの場合には、その乳がんがどのような性質を持っているかを判定することができます。

コア針生検(CNB)

細胞診よりも太い針を使用し、バネの力を利用して組織を採取します。採取した組織の病理診断を行います。

吸引式組織生検(VAB)

コア針生検よりもやや太めの針を使用し、吸引しながら組織を切り取るため、より多くの組織を採取することができます。採取した組織の病理診断を行います。

切除生検

しこりがある場合、その一部または全体を外科的に摘出し、病理検査を行います。採取できる細胞が最も多い組織診であり、しこりが悪性かどうかの確定診断に用いられます。

血液検査

腫瘍マーカー(CEA、CA15-3など)を測定し、乳がんの可能性を評価する補助的な検査です。

どの検査を行うかは、医師の問診や視診・触診を経て、胸のくぼみの特徴や状態のほか、患者さまの全身の状態を考慮して決定します。
胸のくぼみが乳がんによって生じたものであるか否かを自己診断することは難しく、医療機関での診察や精密検査を経て診断されます。また、良性の疾患と診断されても、病気の経過によっては悪性化するものもあるため、定期的に受診し、異常を放置しないことが大切です。

受診の目安

  • 突然くぼみができた
  • くぼみが消えない
  • しこりを伴う
  • 皮膚のひきつれ・変色がある
  • 乳房の形が変わった
  • 乳頭から異常な分泌液が出る など

ブレスト・アウェアネス

胸のくぼみをはじめとした乳房の異常にいち早く気づくためには、日頃から自分の乳房の状態を知っておくことが大切です。
入浴の際などに、見た目の変化(くぼみ、ただれ、変色、ひきつれ)、触れた時の変化(しこりや違和感)、異常な分泌物がないかなどをセルフチェックする習慣を身につけましょう。
胸にくぼみが生じる病気は乳がんだけではありません。自身で乳がんか否かを診断することはできませんが、受診のめやすとなる症状を見逃さないための4つのポイントを紹介します。

乳房を意識した生活習慣「ブレスト・アウェアネス」のポイント

  1. 普段の自分の乳房の状態を知る
  2. 乳房の変化に気をつける
  3. 変化に気づいたらすぐに医療機関を受診する(次の検診まで待たない)
  4. 40歳になったら2年に1回定期的に乳がん検診を受ける

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乳腺外科専門医のもと、専門的な診断・治療による質の高い医療を提供に努めています。また、乳腺以外の原因が考えられる場合、他科とも連携しながら診療いたします。お困りの際は、お気軽にご相談ください。