健康診断で行う心電図検査は、心臓が健康な状態かどうかを調べます。心臓は全身に血液を送るポンプのような役割を果たしており、血液を送り出すときに弛緩と収縮を繰り返します。
その際に流れる微弱な電流を波形に表したものが心電図になります。心電図に異常があったからといって必ず心臓に異常があるというわけではありませんが、心臓は命にもかかわる重要な臓器のひとつであり、再検査や精密検査通知が届いた場合はしっかりと精密検査を受けておいたほうが安心できます。
問診を行ったうえで、必要に応じた検査(心電図検査・胸部X線検査・血液検査・ホルター心電図・心臓超音波検査・冠動脈CT検査)などを行います。
心電図の主な所見は次の通りです。
R-R’型 | 右脚の電気の流れがわずかに障害されている場合の波形ですが、健康な人でも見られるため、特に再検査の必要もありません。 |
R波増高不良 | 心電図のR波の、波の大きさがほとんど変わらない場合をいいます。心筋梗塞、心筋症、肺気腫の有無を確認する必要があり、再検査もしくは精密検査が必要です。否定できれば心配ありません。 |
Q、QS型 | 心電図のQ・R・S波は、上向きのR波と下向きのQ波、S波で成り立っています。そのうち Q 波が著しく大きくなる場合を Q 型、R 波が消失したものを QS 型といいます。心筋梗塞や心筋症などで見られることがありますが、健康な人にも見られます。 |
Ⅰ度房室ブロック | 心房から心室に伝わる電気の流れに時間がかかっている状態です。極端な時間の延長がなければ問題はありません。 |
陰性T | 通常は山型をしているT波が谷のようにへこんだ状態です。心筋梗塞や高血圧、心筋症、脳内出血で見られることがあり、深くへこんでいる場合は精密検査が必要です。 |
右胸心 | 胸部左側にあるはずの心臓が右側にある状態です。先天的なもので症状がない場合は心配ありません。 |
右房負荷 | 肺高血圧や肺気腫、 先天性心疾患などで右心房に負荷がかかっているために心電図のP波が高くとがった形に変化する所見です。 |
ST上昇 | ST部分が通常より上にシフトした状態で、心筋梗塞、ブルガタ症候群などで見られ、胸痛などの症状があれば精密検査が必要です。 |
ST-T低下 | ST部が通常より下がった状態です。心筋の血流が悪い場合や心筋が厚くなった状態で起こり、精密検査が必要な場合があります。 |
冠状静脈洞調律 | 心臓のリズムを作る場所が洞結節以外の心房(冠静脈洞や左心房など)にある状態です。健康な人でもみられることがあります。 |
完全右脚ブロック | 心臓の右側部分で電流が途絶え、左側から電流を流してもらっている状態です。問題のない場合が多く、経過観察となります。 |
完全左脚ブロック | 心臓の左側部分で電流が途絶え、右側から電流を流してもらっている状態です。心臓疾患が疑われるので精密検査が必要です。 |
完全房室ブロック | 右心房から心室への電気が途絶えている状態です。無症状の場合もごくまれにありますが、失神や突然死の原因につながるため、緊急での治療が必要です。 |
QT延長 | QT(QTc)時間が通常より長い場合をいいます。著しく延長している場合は危険な不整脈を起こしやすくなるため、精密検査が必要です。 |
左脚前枝/後枝ブロック | 心臓の左側部分で電流の伝わり方が遅くなっています。狭心症や高血圧性心疾患、弁膜症などが原因になることがあり、胸部症状がある場合は精密検査が必要です。 |
高電位 | 高血圧、肥満、心筋症など心臓への負荷が大きい場合に心電図の電位が高く記録される状態ですが、高電位のみの場合は特に心配いりません。 |
左房負荷 | 僧帽弁狭窄などで左心房に負担がかかったときに、心電図のP波が変化する所見です。経過観察の場合や、心臓雑音がある場合は精密検査が必要です。 |
上室性期外収縮 | 心房や上室で洞結節より早く電気が発生し、心臓を刺激する場合をいい、緊張やストレスで起こることもあります。動悸を感じたり頻回する場合は治療が必要です。 |
上室性頻拍 | 上室から電気が高頻度に発生している状態で、心臓が十分に収縮できず、全身への血液供給が不十分になり血圧低下や失神のおそれがあります。薬物やカテーテル治療が必要です。 |
心室性期外収縮 | 本来電気が発生しない心室から、通常のリズムよりも早く発生した状態をいいます、健康な人でも、喫煙、興奮、過労で見られることがあります。動悸などの自覚症状が頻回であれば精密検査が必要です。 |
心室内ブロック | 心室内の伝導経路の障害によって異常な波形を示しており、心筋障害を有している場合があるので、心エコーや心臓CT検査による精密検査が必要です。 |
心室頻拍 | 3つ以上連続して心室性期外収縮を認めた場合をいいます。速やかに正常状態に戻す必要があり、緊急での治療が必要です。 |
心房細動 | 心房が不規則かつ無秩序に収縮している状態です。動悸、息切れ、疲れやすいなどの症状が現れ、また脳梗塞をおこすことがあるため、治療が必要です。 |
心房粗動 | 心房が1分間に240以上の回数で収縮する状態です。脳梗塞を発生することがあるため、治療が必要です。 |
T波増高 | 通常なだらかな山形をしているT波がより高くなることをいいます。高カリウム血症や心筋梗塞の発生直後などで見られますが、健康な若年層にも見られることがあります。 |
WPW症候群 | 心臓内の電気が伝わる正常なルート以外に副伝導路があり、電気の指令が普通より早くなっている状態です。無症状の場合は経過観察で大丈夫ですが、頻拍発作の回数が多く日常生活に制限が生じる場合には治療が必要です。 |
低電位 | 心電図の波の高さが低くなる所見です。体内の水分貯蓄や心筋梗塞などで心臓の収縮力が弱まった時などにみられます。 |
洞性徐脈 | 正常な心電図波形ですが、心拍数が少ないものをいいます。甲状腺機能低下症などのほか、健康な人でもスポーツを行っている人によく見られます。 |
洞性不整脈 | 心拍のリズムは正常ですが、収縮間隔が不整となる状態をいいます。健康な人にもよく見られ、呼吸性不整脈の一種です。 |
洞性頻脈 | 正常な心電図波形ですが、心拍数が1分間に101回以上のものをいいます。発熱、心不全、甲状腺機能亢進症などのほか、健康な人でも不安・興奮・緊張状態の時にみられます。 |
Ⅱ度房室ブロック | 心房からの電気の流れが途絶えることをいいます。ウェンケバッハ型とモビッツⅡ型の2種があり、心筋炎や冠動脈硬化ののときなどに起こる場合があり、経過観察か精密検査が必要になります。 |
不完全右脚ブロック | 右足の電気の流れが遅くなっている状態ですが、健康な人でも見られることがあり、特に治療の必要はありません。 |
平低T波 | 通常なあらかな山形をしているT波が平らになった状態です。心筋に障害が起こり、負荷がかかっている可能性がありますが、健康な女性でも見られることがあり、経過観察が必要です。 |
ブルガダ症候群サドルバック型 | ST上昇という波形があり、ST部分にくぼみがみられる場合サドルバック型と言います。失神の経験がある場合は精密検査が必要です。 |
心電図検査で異常があると、主に下記の病気が疑われます。
心筋症(拡張型・肥大型)
これにはいくつか要因が考えられ、自律神経の変化によって異常と判定される場合や症状が出ていないときには心電図に変化が出ないことがあります。また、不整脈の場合はいつも心電図に異常が出るものや時々しか異常が出ないものもあります。そのため、症状や不安を感じている場合は医師にご相談ください。
診療科によって休診の場合があります。事前に診療担当表をご確認ください。
ご予約のお問合せは10:00以降(乳腺外科、婦人科、眼科は月~金曜13:00以降、土曜10:00以降)にお願いいたします。
■「婦人科、乳腺外科、小児科、形成外科」は初めての方でもWebから予約ができます。
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