喘息とは、慢性的に気道が炎症をおこし、色々な刺激に過敏となり、気道(鼻から肺までの空気の通り道)の粘膜が厚くなり空気が通りづらくなる病気です。喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難をひきおこします。ほとんど症状がでない軽症のものから適切な処置を行わなければ命にかかわるような重症のものまで、症状の度合は人によって様々です。
喘息は子どもの病気だと思いがちですが、子どもだけでなく大人になって発症する人も少なくありません。小児喘息は半数以上が自然に治ると言われていますが、治ったと思っていても完治しておらず大人になってから再発してしまう人もいます。また、大人になってから初めて喘息になる人も多く、40~60歳代の女性が多いと言われていますが、どの年齢でも喘息になる可能性はあります。
喘息の主な症状は、発作時におこる呼吸困難です。他にも、以下のような症状がみられる場合があります。
重症の患者さんでは、気道が狭くなり喀痰が詰まることで十分な酸素を取り込むことができず、チアノーゼ状態(皮膚や粘膜が青紫色になること)や意識障害がおこることもあります。
また、喘息発作は夜から早朝にかけておこりやすく、激しい咳で睡眠が妨げられたり、横になっている状態が苦しくなる場合があります。睡眠中は通常に比べて呼吸の量が少なくなるため自然と気道も狭くなり、そこに朝方の冷たい空気に触れることで一層気道が狭くなり刺激されることで発作が起こりやすくなります。
喘息は気道が慢性的に炎症をおこし、何らかの原因で刺激され喘息発作が起こります。気道の炎症の原因にはいくつか種類があります。
ダニやほこり、カビ、ペットの毛、花粉など特定の抗原への過剰な免疫反応が原因で引き起こされます。子どもの喘息はアレルギー性のものが多くを占めます。
アレルギー体質や気道の粘膜が刺激に対して敏感な喘息体質が遺伝し、発症している可能性があります。
気道を刺激する原因はさまざまで、排気ガスや煙の吸入、喫煙、ストレス、アルコール、肥満、風邪などの体調不良、冷たい空気に触れることなどで喘息発作が誘発されます。アレルギーとは違い検査で原因が分からないので、どのような時に喘息の症状が出やすいか、普段から自分を観察することが大切です。
アスピリンとよばれる非ステロイド性消炎鎮痛剤や同じ作用のある薬によっておこる喘息発作をアスピリン喘息といいます。成人の喘息のうち10~20%はこのアスピリン喘息といわれており、解熱剤や鎮痛剤、風邪薬、痛み止めの湿布、塗り薬などで発症することもありますので、病院での処方だけでなく市販薬の購入にも注意が必要です。
喘息の治療では薬物療法を行いますが、薬は使用する目的によって大きく2つに分けられます。
長期的に使用する薬(コントローラー)
コントローラーは、中長期的に使用し、発作がおきないよう気道の炎症をしずめるための薬です。
一般的には気道の炎症を抑えるステロイドと気道を広げる作用のあるβ2刺激薬を合わせた薬の吸入が治療で用いられます。吸入のステロイドは注射や経口で使用するよりもステロイドの量が少なく気管支にのみ効くため、副作用がはるかに少なく長期安全性も高いため、喘息の治療では中心的な薬です。ただし、コントローラーの薬は即効性はないので、喘息発作がおきた時は別の薬を使用します。
発作時に使用する薬(レリーバー)
レリーバーは喘息発作がおきた時に使用する薬です。即効性があり発作を抑えることはできますが、喘息の原因である気道の炎症をしずめることはできないためコントローラーとあわせて使用することが求められます。軽症~中等症の発作には気道を広げるβ2刺激薬の吸入やステロイドの内服・点滴が行われ、改善しない場合はアミノフィリンの注射などが行われます。また、血中酸素濃度が低い状態になると酸素吸入、意識消失などの重い発作では気管挿管を行い人工呼吸器での管理となります。
上記2種類のタイプの薬を用いて喘息の治療を行いますが、症状が出なくなったからといって薬を自己中断しないようにしましょう。気道の炎症が治りきっておらず、気付かないうちに炎症が悪化してしまい重い発作を引き起こす可能性があります。医師の判断のもと、薬を減らしていき、コントロール良好な状態を保つように心がけましょう。
喘息の主な症状でもある呼吸困難や喘鳴の症状が無く、咳だけが長期的に続いている場合は気管支喘息ではないかもしれません。喘息と似た症状を持つ病気は他にもあり、咳喘息やアレルギー性咳嗽の可能性もあります。
発熱などの風邪症状が治まった後も咳だけが長期的に続く場合は、咳喘息の可能性があります。喘息と同じようにハウスダストや天候、花粉、ストレスなどの刺激によって気管が過敏に反応して狭くなり、炎症や咳発作が引き起こされます。
風邪薬や咳どめは効かず、気管支拡張薬や吸入ステロイドで治療を行います。咳喘息は放っておくと約30%が気管支喘息に移行するといわれていますので、早めに治療を開始することが求められます。
咳喘息と症状はほとんど同じですが、咳喘息とは違い気管支喘息に移行しないと言われています。咳喘息と似ているため見分けがつきにくいのですが、気道でのアレルギー反応が原因のため気管支拡張薬が効かず、アレルギー反応によって過剰に分泌されたヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬が有効という特徴があります。
長期的に咳が続き日常生活に影響が出る場合は、咳だけだからと我慢せずに早めに医療機関を受診するようにしましょう。
診療科によって休診の場合があります。事前に診療担当表をご確認ください。
ご予約のお問合せは10:00以降(乳腺外科、婦人科、眼科は月~金曜13:00以降、土曜10:00以降)にお願いいたします。
■「婦人科、乳腺外科、小児科、形成外科」は初めての方でもWebから予約ができます。
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